ギターの体調管理。

コラム 中古車の謳い文句で「タイヤ◯分山」と言うのを見かけますが、それをスリップサインを目安にしていれば、それ以上に片減りしていれば意味がないし、側面がヒビ割れていればそれも無意味な目安になる。
それに倣ってか、中古ギターにおいても「フレット◯分山有り」「トラスロッド回ります」とか、それらも似たようなものだと思って見ています。

何度か経験している話で、当店で販売した整備済み中古品が、後にオーナーチェンジで他店で販売された際に「フレットは新品状態で◯分山」と言うコピーを見かけていますが、ん?..あれって再整形したんだけどな、と。見た目には確かに新品みたいにはリペアしましたが。

 

 ギターの「体調」はどうですか?

ピットイン作業中。

冬は乾燥の季節。一般的にネックは順反りに動きますが、長野県など寒冷地に多いのは石油ストーブ・ファンヒーター使用による湿気や、寒暖差による結露で、逆方向(逆反り)に動くギターも多く見ています。

「俺のギターはネック動かねーから大丈夫!優秀!」と言う方もいますが、意外と気づかないコンディション変化があるかもしれません。定期的に販売店などに相談してみると良いでしょう。

当店で販売している「弦高が低い」ギターはネックの動きを敏感に気が付きやすいです。順反るとすんげー弾きにくくなるし(笑)、逆反りすると音がでなくなります。数年経過してきたものは「すり合わせ」をすることで、発音やトーンバランス、チョーキングバランスが改善いたします。

季節の変わり目に限らず、長くお使いいただくためにも「コマメな点検」「適度な調整」は重要です。

「うーん。トラスロッド一杯すね。」とならないようにお早めに。

 

追悼 小倉智昭さん

小倉智昭さんがお亡くなりになりました。

これで日本からプログレッシブロックの図書館を1つ失ったくらいの損失。悲しい。寂しい。

「小倉智昭 プログレ」と検索すると当店ブログがトップに表示される(笑)
真面目な話。その責任もあっての当店からの追悼投稿です。

前にも書きましたが、小倉さんと言えばプログレッシブ・ロック(プログレ)の有識者として有名。

本来でしたらまだまだお元気で、プログレについても何か1冊の本などで紹介して大いに語って欲しかった願いがありました。

その前に。小倉さんと言うと、実に楽器マニア、オタク系でマニアックな方々(つまり私!)とシンパシーがある方。

その昔。PCの分野で日本が最先端を譲らなかった時代。小倉さんが初めに買ったパソコンがシャープ製で、確かMZ-80シリーズだと思いましたが、ずっと大切に保管してあるとの話でしたし、後に同社パソコン専門番組の司会もなさっていた。

私が少年時代。小倉さんを知ったのは、世界まるごとハウマッチではなく、タミヤRCカーグランプリの実況をされていたこと。今思えば、パソコンやラジコンといった趣味のテレビ番組があった事自体がすごい事。日本はそれだけ豊かで活力があった時代でした。常に時代と共に、「熱狂的趣味、マニアック」な方々と共にあった人物。

その他にも音楽の分野では、ジャンルを超えた数々の音楽を愛し、ドラム演奏や、ヴィンテージギターの愛好家であったことも有名。

その音楽観について。本当に晩年の時期、確か昨年だったと思いますが、小倉さんがラジオ番組に出演して短時間のコーナーで「プログレッシブ・ロック」を語る場面がありました。私はたまたま運転中に聞きましたが、1週間放送した最後しか聞けなくて大変残念だった思いがあります。知っていれば全部聞けたのに。

そこでは、プログレ入門とお勧めの名盤として、The Moody Bluesを紹介していた。

The Moody Blues | Every Good Boy Deserves Favour

日本名で「童夢」と呼ばれてそっちのほうが馴染み深いかも。小倉さんは中でも、「#2 The Story In Your Eyes」を名曲として紹介していた。

プログレファンの多くは言う。「イージーなんだ。プログレを聞くとイージーな気分になれる。」
ムーディーブルースを聴くと正しくですね。ピンク・フロイドにも共通しますが。

小倉さんの晩年は改装したホームシアターで好きな音楽を聴き、音源を整理する日々だったそうですが、きちんとしたオーディオ機器で大きな音量で聴くとこのアルバムの世界観はグッと高まる。#5 After You Cameのギターサウンドの広がり方とか今聞いても素晴らしい。

プログレ聞いたことのない方には、新鮮に感じる音楽かと思います。私からもお勧めします。できれば、オーディオで大きめな音で聴きましょう。