昔々..約25年前。
私がまだ楽器業界に入った頃の話。
(1990年代)その時には既に、
70-80年代のMaxon/OD-808(以下、オリジナルMaxon)は、
「現行のTS-9より音がいい。」
「これにはプレミアが付いている。」
当時は今みたいにネットで情報を集める..って時代ではないために、「音を聞き比べて判断」していた時代。当時新品で販売されていたTS-9と比較しても、「音が太く、なめらかに前に出る」印象が残っている。
その90年代当時にも、比較すると音の違いは明らかで、なおかつ国内で手に入らない場合には海外のヴィンテージギターの卸し業者などから「逆輸入扱い」として仕入れるほどに当時から「オリジナルMaxon」でしか得られない「欲しいトーンと希少性」があったのだ。
時が経ち。
昨年。
2018年。
「とある1台の1980年製 Maxon OD-808(写真手前)」を試す機会に恵まれた。
(手前:1980年製。奥:1970年代製。)
世の中に、TS系と呼ばれるオーバードライブは数えきれないほどあり、それを模倣するオーバードライブも数々ありますが、
久々に触れる「この1台(写真手前)」にフォーカスすると、確かに違う。
現在は10万円、状態の良いものだと20万円前後で取引されている「ヴィンテージ品」として扱われるオリジナルの「OD-808」。
早速、田村さんに連絡。店に来てもらう(近所)。
検証していただくと、
田村さん曰く、
「こ、これは、1000個に1個あるかないかの個体かもしれない..」
と、驚きの表情を見せた。TS開発者による高評価。つまり、当たり中の当たりの1台であることは間違いないのだ。
TSを使う本来の用途。「ゲインブースト」をする。
アンプを軽めに歪ませるクランチ〜ドライブにセッティングし、この「オリジナルMaxon」を踏んでみる。
- 「トーンをプッシュしながら」音全体は「なめらか」に伸びていく。
- アタック時に「心地よいコンプレッション」が感じられる。
これは、数多くのペダル、アンプシステムを使ってきたエキスパートなら、この「オリジナルMaxon」から放たれるトーンの「差」が「とんでもなく大きく」感じられる筈。確かにいい音なのだ。これは、25年前の私の記憶「音が太く、なめらかに前に出る」を思い返した。正しくあの音だ。
プレーヤーのみならず、
エフェクターを作るエンジニア達も追い求める「オリジナルMaxon」トーン。
TSに倣ったブティックペダルであっても「出すことのできない世界観」がここにある。
マニア達が10万円、20万円しても「欲しい」付加価値はこの音を体験すれば理解できる..。
ーーーー ここからは情熱的に行こう。
田村さんに敬意を表し。
そのオリジナルMaxonを作ったTSの祖師である「田村進」氏の協力(強力)のもと、
ST-808プロジェクトを始動。
STは「Smooth,Sleek,Shiny.. Tone」の意味か、
あるいは「S.Tamura」かもしれないし、
「TS」を捩ったのかもしれない..果たして。そのあたりはご想像にお任せしたい。
「製品化?」
そう。この話は水面下レベルではなく、既に完全再現への道は「ゴールに近づいている」のだ。それは、これから徐々に明かしていくので楽しみにしておいて欲しい。
(次回へ続く。)