SD-9 SUPER「チューンナップレポート」 | S.Tamuraアーカイブス

(黒文字=田村進氏)

EXCEL:チューンナップ素体の「Maxon/SD-9」が誕生した話を教えてください。

(MaxonのSD-9 Sonic Distortionについて、)
「70年代後半から80年代に入る当時は、他のメーカーからもディストーションペダルが発売され始めた時期でした。

(写真:Maxon Sonic Distortion SD-9)

Maxon(株式会社 日伸音波製作所)もその流れに合わせて、SD-9を作り発売しました。ディストーションペダルとしてはMaxonの歴史上では(発売時期)最初の方に位置するモデルです。」

EXCEL:「SD-9 SUPER」の効果的なチューンナップ・ポイントをお聞かせください。

「ポイントは主に「2つ」あります。

・1番はやっぱりTONE(TONE機能)です。
オリジナルのMaxon/SD-9ではその性質上、TONEを7~9時くらいに絞って使うユーザーが多かった様です。

 
「SUPER」では、TONE機能を幅広く、そして、使いやすくするために、TONEポットだけ交換で済ませるのではなく、チューンナップ版としてリリースするためには、私は「TONE回路自体も一緒に変更する必要がある」と考えました。

(写真:チューンナップ版 SD-9 SUPER by EXG)

単にTONEポットを交換して完了ではなくて、TONEをセンター(12時)にして右左どちらに回しても使いやすくするために、

先ほど言った「TONE回路自体の変更を行った」上で、

変更後のTONE回路に合わせて、
「SD-9 SUPER」のために特別に用意したTONEポットへ交換しました。

チューンナップしたことで、TONEツマミはとても使いやすくなりましたね。音をマイルドにするまたはブライトにする、どちらにも使いやすくなりました。



そして、

・2番目のポイントは、EXCELさんからリクエストのあったコンセプトひとつ「ローエンドを重厚に」する点です。
 
チューンナップ作業中は、全て、Audio Precisionで検査(オーディオアナライザ、測定器による検査。以降「AP」「測定器」と省略)しながら、意図する音質がでるように、この辺かな?、この辺かな?と、繰り返しの作業を行いながら、試作機のテストを行いコンセプト通りの低域の厚みが出るようになりました。
 
「SD-9 SUPER」をお買い上げいただいているお客さんの多くが、フュージョンやAORファンであると聞いています。ユーザーさん達の好きなトーンと上手く合ったんでしょうね。よかったと思います。

「SUPER」のポイント、大変だった、苦労した部分を挙げれば以上2点ですね。もちろん、この他にもチューンナップ箇所はありますので、詳しいことは「製品ページを読んで」いただければ、と思います。」

EXCEL:最近の「ブティック系」と呼ばれるペダルエフェクターと、「当製品の作り方の違い」について田村さんのお考えをお聞かせください。


「今回の様なMaxonのチューンナップ版を作る、この様にもう一度見直しながら良い製品を作り出すものと、新しい(ブティック系と呼ばれる様な)エフェクターを作ることは「目指すものが違いますね。」

「作り方の違い」については、
私の場合はまず「製作環境」も違います。どこの、どういったパーツを、どこから用意するか、についても、培ってきた経験や、人と人のネットワークを使って、必要とする部品は手に入れやすいですし、


今回のSD-9 SUPERのTONE機能を例にすれば、
ツマミの動きに合わせて綺麗に変化する様に、ポットの「テーパーや値まで考え」て、「合致する部品を用意」する、時には考えに合った「必要とするパーツを特注できる」環境にあります。

私も長くやってきたんでね(笑)、
今回のチューンナップ版の製品コンセプトの方向性や、目指すゴールを聞いている打ち合わせの段階で、もうある程度どこをどうするかって直ぐ想像で思い描けてしまうんですよね。

AP測定器で1台ずつ測定、検査していることもそうですね。
音はもちろん、「ツマミの動きが正しく変化するかどうか」まで測定器でチェックすることで、アンプで音を出したチェックだけでは分からない、「可聴域(耳で聞こえない音域まで)までの検査」が行えるため、ワイドレンジな検査環境での製品作りを行っています。

なので、「何台中の当たりの1台!」ってことはなくて、お客さんは1台1台が個体差がほとんどない「SD-9 SUPER」をお買い上げいただけますからね。

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